債権回収の方法と注意点~民法改正をうけて

2020年9月17日 9時24分20秒 (Thu)

今回のテーマは債権回収です。
 個人間でお金を貸しているが返してもらえていない
 企業同士で商品を売却したのに商品代金の支払いがなされない。
 会社の立場で、とあるサービスを個人に提供したにもかかわらず、料金(報酬金)が未払いである。
 債権回収の問題は、個人間、企業間、会社・個人間いずれの場面でも生じうる問題です。
 このような未払い金銭債権(貸したお金、商品代金、報酬金)を回収する方法について、
 今回まとめて説明させていただきます。
  弁護士に依頼するという方法は今回は省略させていただきます。

  債権回収の方法
 ア まずは、話し合いからはじまります。
   直接の対話、電話・FAXやメール、ライン等で金銭の返済を請求し、債権回収を要請します。
   証拠保存という見地から揉めそうであれば、FAX等形が残るものがおすすめにはなります。
 イ アで債権回収が出来なかった場合には、アの手続きでは証拠保存が不十分となる場合がありますので内容証明郵便+配達証明で金銭の返済を請求することをお勧めします。
   証拠化という面で優れております。内容証明郵便は手元と郵便局に原本と同一内容のものが残りま すので証拠としての価値が高いです。相手方からの受け取っていないという反論を防ぐために配達証明もつけましょう。後述する時効中断との関係でも非常に有効な手段になります。

 ウ 仮差押え
   相手方の財産の流出を防ぐために、相手方の財産を一時的に凍結し、裁判後に債権回収を確実に
  なすための方法になります。
   預貯金や不動産をその対象としてイメージしていただければと思います。
   これは、企業の法務部の方であればできると思いますが、個人でやるのはしんどいかもしれませ ん。
  また、仮差押えをなすには保証金が必要となります。
  嫌がらせ目的をふせぐためですので、債権額によっては結構な金額となります。
  また、後の訴訟に敗訴すると、保証金が戻ってこないこともあります。
  後の訴訟で確実に勝訴できる場合にしかお勧めできない方法です。
  また、仮差押えが出来ない債権や範囲が限定されている債権もありますので
  注意が必要になります。

 エ 訴訟・裁判
   ア・イの方法をとっても支払いがなされない場合には、
   相手方を被告として、地方裁判所または簡易裁判所に民事訴訟を提起します。
   140万円を超えるか否かで地裁か簡裁か変わりますのでご注意ください。
   少額訴訟や支払督促という比較的簡易な訴訟手続きもあります。
 オ 強制執行
   エで和解が成立せず、勝訴判決が確定しても、被告が支払いをなしてこない場合
  もあります。
   その場合には、相手方の財産(預貯金・不動産等)に対して強制執行をなし、
  債権を回収していくことになります。
   不動産情報は比較的調査がしやすいですが、預貯金の情報はなかなか入手しにくいです
  から必ずしも回収できない場合もあります。

 各方法の注意点  
  1 時効
    金銭を請求できる者(債権者)は、時効期間内に請求しないと、相手方債務者が時効を
   援用して金銭の支払いを拒絶できる場合が生じてしまいます。
    ですから、時効を迎える前に、イの方法をとり、そこから6か月以内にウの方法をとる
   必要性があります。
    時効については民法が改正され、
     知った時から5年間
      権利行使が可能なときから10年間になりました。
    古い文献等だと現行法上間違ったことが記載されている場合がございますので
    法務部の方とかで書籍を購入される場合は民法改正対応済みのものをご購入ください。
    時効管理は極めて重要です。
  2 回収可能性の検討
    訴訟判決を得ても、相手方の資力や差し押さえ可能財産がなかれば、回収不能となりま
   す。
    保有不動産の有無を全部事項証明書を取り寄せて検討する必要性があります。
    乙区欄を検討し、抵当権が設定されていないか、差し押さえを受けていないか等を確認
   をする必要性がございます。
    調査したら税金滞納をしていて役所から差し押さえされている、銀行の抵当権が設定
   されているというケースは相当あります。
    あとは、企業同士であれば、相手方の振込先等を把握できていると思いますので、それ
   とあわせてメインバンク等を把握しておくのも手です。
  3 回収可能性がないのに訴訟を提起しても費用倒れする可能性があります。
    ただ、損金処理をなすために訴訟提起を求められる場面もあるかと思います。
    法人であれば、税理士さんと調整が必要になるかと思います。

     湘南平塚法律事務所 弁護士 大木秀一郎

    

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