過失とは?~意味をわかりやすく平塚の弁護士が解説します

2020年9月26日 9時28分18秒 (Sat)

過失とは何か?~過失の意味をわかりやすく(?)解説します。

1 民事事件における「過失」の意味~民事の世界の「過失」とは?
  民事分野の世界の過失と刑事分野の過失は厳密にいうと異なるのですが
  今回まずわかりやすく(?)解説させていただくのは、民事の世界の過失になります。
  
  イメージをわかりやすくするために交通事故のケースをベースとして過失とは?過失があるとは
 どういう意味でどういう概念なのかを解説させていただきます。
  
 ア 前提知識として、民法上の過失とは?、、、、
   民法上の損害賠償責任が生じる場面は大きくわけて二つあります。
   債務不履行責任と不法行為責任です。
   前者は、
   第415条
   債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の
   賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができな
   くなったときも、同様とする。
   後者は、
   第709条
   故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生
   じた損害を賠償する責任を負う。
   と民法に規定されております。
   端的にいうと前者は契約関係にあるもの同士の責任の問題、後者は契約関係にないもの同士の
   責任の問題です。
   交通事故の損害賠償の場面は、後者ですので、交通事故のおける過失とは民法709条の過失
   を意味します。そこで、民法709条の過失とはどういう意味を有する概念であるのかを解説
   していきます。
 イ 民法709条の「過失」とは?
   民法709条には「故意又は過失によって」との表現がされております。
   ここでいう「故意」とは、端的にいうとわざとすることです。
   たとえば、他人の皿をわざと壊したら「故意」があるということになります。 
   今回のテーマからは少しそれますが、民法上の故意を正確に定義すると
    状況を把握・認識していることを前提として、結果発生を許容して行う行為
   ということになります。
   では、「過失」があるというのはどういう意味でしょうか?
   一般的な意味だと「過失」がある場合とされるのは、不注意で失敗した場合を指すと思います。
   皿洗いの最中に皿を割ってしまいました。過失です。といった感じで使っているかと思います。

   しかし、民法上の過失は、不注意で失敗した場合とは定義されませんし、失敗を意味しません。
   すなわち、過失がある=失敗ということではないのです。
  
    民法709条の過失とは、
     損害発生の予見可能性と回避可能性があることを前提として
     損害発生を回避する義務違反があったこと
 を意味します。
   わかりにくいですよね。

    わかりやすくひとつひとつ説明します。

  先ほどいったわざとではなく、何かしら失敗をして、契約関係がない相手方に何らかの損害が生じた
 としても、必ずしも「過失」があるとはされずに、損害賠償責任を負わない場合があります。
  交通事故の場面を思い浮かべてください。
  まず、過失がある場合。
   車間距離を十分とらずに、制限速度を30㎞オーバーして
   前の車に追突した交通事故の場合がこれにあたります。
    車間距離を十分とらないこと、制限時速を30キロ―オーバーしている場合には
   他車との衝突や接触が予見可能です。
    制限時速を遵守し、車間距離を十分にとっていれば、回避可能でした。
    こういう場合には「過失がある」ことになります。

  では、過失がない場合というのはどういう場合が想定されるされるでしょうか?
   青色信号表示にしたがって歩行者が横断歩道を進行していた際に、歩道内で少し足がもつれて
  転びました。そこに信号無視した自動車が突っ込んできてはねられました。
   この場合歩行者は転んでいるので、一般的に意味での失敗はしております。
   しかし、信号無視した車両がつっこんでくることは予見可能性がありませんので
  過失がないということになるかと思います。

   民法上の過失は一般的な意味の過失とは異なるということをご理解ください。

2 刑事事件における過失の意味~刑事事件における過失とは?
  刑事事件における「過失」は民事事件における「過失」と必ずしも同じ概念ではありません。
  刑法における犯罪はほとんどは故意犯です。
  過失犯についても少ないですが規定されております。
  刑法上の過失については複数の学説がありますが、その一つを紹介します。
   刑法上の過失の要件は
   ①予見可能性②予見義務③結果防止可能性④結果防止義務がある場合に②④の義務違反がある
  行 為です。
   すこしわかりやすくすると、結果が生じうることが予見できることを前提にして、被告人にそ
  れを予見する義務があるにもかかわらずその義務をおこたり、結果を防止できる可能性があり、そ
  れを防ぐ義務があったにもかかわらず、その義務を怠った場合です。
   うーん。わかりやすくなっていない気がしますが、学説だからこれ以上は難しいです。

  なお、過失犯については、法律に特別な規定がない限り処罰されない(刑法38条1項但書)と
 されています。
  過失致死罪、業務上過失致傷罪等いくつかの規定しかございません。

3  まとめ
   交通事故では、過失割合が問題となる事が多々あります。
   過失論は非常に専門的ですので、法律の専門家ではないとわからないことが多いかと思います。
   過失割合に納得できない場合は、弁護士に相談していただく方が安全かと思います。
   
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