立証・証明責任について

2020年12月22日 12時27分42秒 (Tue)

本日は立証・証明責任について書きます。

立証責任(証明責任)とは、すごくざっくりいうと、白か黒かはっきりしない場合には
責任を負う側が立証しない限り、白とするということです。
裁判所は神様ではありませんので、原告、被告の主張のいずれが真実なのか
わからない場合がございます。

しかし、裁判所はどちらの主張が真実なのか、判断をしなければなりません。
そこで、証拠を精査しても裁判所として事実の有無を確定できない場合に
どちらの当事者が不利益を負うことになることが、立証責任の分配であり、不利益を受ける方が
立証責任を負うことになります。
ざっくりとかきましたが、正確に表現すると
証明責任(立証責任)とは、裁判で主要事実の真偽が不明な場合に、その事実を要件とする法律
効果が認められない一方当事者の不利益ないし危険ということになるかと思います。
わかりにくいですね。

民事の場合と刑事の場合では立証責任の分配の考え方が異なります。

1 刑事事件の場合
  疑わしきは被告人の利益にという言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
  刑事事件の場合には、
   犯罪事実の立証責任は検察官にあります。
   したがって、証拠を調べた結果、犯罪事実の有無について判断ができない場合には、
   被告人の利益に判断され、犯罪事実がなかったことになり、同事実については
   無罪ということになります。
   例外的に被告人に証明責任が転換されている場合(明豊207条等)もありますが原則は
  疑わしきは、被告人の利益にということになります。

2 民事事件の場合
  民事の場合は大体3つに分けて考えることになります。
  3つとは①権利発生の法的効果、②権利障害の法的効果、③権利阻止または権利消滅の法的
 効果になります。
  そして、大まかに言いますと
 3つの法的効果を基礎づける要件事実については、それぞれの法的効果が自己に有利に働く当
 事者が、証明責任を負うことになります。
  物の売り買いの場面で具体的に話をさせていただきます。
  売買契約に基づいて売買代金を請求する場合の話となります。
  ①売買契約に基づく売買代金請求権の発生の法的効果は売主に有利に働きますから、売買契約
 が存在したことについては売主が証明責任を負うことになります。
  具体的には、特定の財産権の移転とその対価としての一定の金銭支払いについて表示医師が
 合致したことについて売主が証明責任を負うことになります。
  売主からは売買契約書等が証拠として出されることが想定できます。
  ②売買契約に基づく売買代金請求権の権利障害が生じさせるものとしては民法上の錯誤主張
 や通謀虚偽表示等がございます。
   この効果が有利に働くのは買主ですから、買主が証明責任を負うことになります。
  ③売買代金請求権の権利阻止または権利消滅事由としましては、
   消滅時効の援用主張がございます。
   たしかに買ったけど、もう10年たっているから時効で代金を払わなくてよいのではという
  主張です。
   同法的効果が有利に働くのは、買主ですので、証明責任は買主が負うことになります。
   例外的に立証責任が転換されている場合もございます(自賠法3条但書)。

  本日は立証責任についてまとめさせていただきました。
  立証責任を考えて契約書を作ったりしておくことは重要ですので、法的文書を作成する際には
  この文言が、上記①②③ののいずれの法的効果と関係するものであるのかは意識されるとよいかと
  思います。

    湘南平塚法律事務所 弁護士 大木秀一郎
   
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