犬に噛まれたら~慰謝料・損害賠償の話

2020年12月1日 10時39分55秒 (Tue)

本日は、他人が飼う犬に噛まれたらどのような賠償を受けることができるか
を中心に、他人が飼う犬に噛まれた場合全般の話をまとめさせていただきます。
 ここでは、ペットの代表として犬とさせていただいておりますが、
他のペット(例えば猫に噛まれた場合)の場合にもある程度参考になるような記載
をさせていただきたいと思います。
1 他人が飼う犬に噛まれた場合の法的関係・条文
  民法718条が適用されます。
  民法718条の条文は以下の通りです。
(動物の占有者等の責任)

第718条 動物の占有者は,その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
     ただし,動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたとき
     は、この限りでない。

    2 占有者に代わって動物を管理する者も,前項の責任を負う。
 
  他人が飼っている犬に噛まれた場合には、怪我したことによる人的損害及び衣服等の
 物的損害のいずれも「動物の占有者」すなわち、本事案だと犬の占有者に対して請求で
 きることになります。
  もっとも、718条1項にはただし書きがございますので、
   「相当の注意」をもってその管理をしたことに犬の占有者が成功すれば、損害賠償
  請求が認められないことになります。
   では、相当の注意とはどういったものになるでしょうか。
   この点、最判昭和37年2月1日では
   「相当の注意」については,「通常払うべき程度の注意義務を意味し,異常な事態
  に対処しうべき程度の注意義務まで課したものでない」とされております。
   通常払うべき程度の注意義務を怠ったかについては、
    ①動物自体の属性(種類、年齢、病歴、加害歴)②動物の保管態様③飼い主の職
   業・習熟度・加害時の措置④被害者の警戒心の有無、加害行為の誘発の有無等が考
   慮されることになるかと思います。
    犬で話をさせていただいておりますが、一度も人をかんだことがない子犬のチワ
   ワと、前に人にけがをさせたことがある成犬のドーベルマンではやはり注意義務の
   程度が違うということになるかと思います(ドーベルマンだから噛むという主張を
   なしているわけではないことはご理解ください)。
   第2項がございますので、飼い主からペットを借りた方も賠償責任を負うことにな
  りますが相当の注意を払っていれば、賠償責任を免れる可能性があるということにな
  るかと思います。

   飼い主等が負担する損害の範囲ですが、
    被害者に生じた治療費,通院交通費,休業損害,逸失利益,慰謝料の他、犬が破
   損した衣服等の物的損害についても負担することになると思います。
    もっとも、被害者が犬が噛んでしまったことについて原因を作り出している場合
   には、同点を過失と捉えて過失相殺がされ、損害賠償額が減額となる余地はあるか
   と思います。
    
   民事の話を先にしましたが、刑事責任を負う場面にもなる場合があります。
    飼い主が犬をけしかけて他人を噛ませて怪我させた場合には、
     傷害罪(刑法204条)に該当するおそれがあります。
     15年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

     飼い主がけしかけたわけではないが、飼い犬が他人を噛んで、被害者が
    怪我をした場合、過失傷害罪(刑法209条)に該当し、30万円以下の罰金
    または科料を課されるおそれがあります。
     飼い主ではなくても、飼い主の代わりに犬を連れていた方であれば、過失傷
    害罪にとわれる危険がございます。
     犬だけではなく猫でも他の動物でも同じです。
     親告罪ですので被害者の方が告訴しなければ同罪に問われないことになりま
    す。

2 犬に噛まれた場合にすべきこと
 (1)相手方の連絡先の確認
    今後治療費や慰謝料の請求をなすことが予想されますので、相手方の連絡先
   をしっかりと確認をしておくべきかと思います。

 (2)病院へ行く
    ウイルス感染の可能性がありますからできる限り早く病院(救急外来)へ行か
   れるのが良いかと思います。

 (3)警察への通報
    上述した通り、飼い主が傷害罪や過失傷害罪に問われる可能性がある場面です
   ので警察へ通報しておくことをおすすめします。
    民事上の示談の話になった際に、言っていたことを変えられることは多々ある
   ことです。
    刑事記録を作成させるように警察への通報は行っておく方が無難であると思わ
   れます。
 
 (4)保健所への届出
    他人の飼っている犬に噛まれた場合には、保健所へ届出をなす必要性があり
   ます。

   
   湘南平塚法律事務所
   平塚市紅谷町3-3 本陣ビル2階
   0463-22-4051 
   弁護士 大木秀一郎
    
 


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